2007/09/27 (Thu) 21:10
「マッドのねーちゃん? この間、いちご貴族で出されたなぞなぞだけどさ」
「この間の……というと」
「自分で出して忘れんなっ。
ほらアレだよう。偶数と奇数でどうこうっていう……」
「偶数と奇数……と、偶関数と導関数の話かしら」
「……ち、違うと思うっ。もっとこう……」
「ええと……。
偶数かける偶数は偶数。
偶数かける奇数は偶数。
奇数かける偶数は偶数。
奇数かける奇数は奇数。
ではどうして、偶数の数は奇数の三倍ではないのか」
「それ!
結局わけわかんない。そもそも、偶数と奇数の数って同じ?」
「ええと……無限大なのよ、どちらも」
「無限大、ってーのは奇数なの? 偶数なの?」
「……わからないのよ」
「わかんねーならんなキッパリ言うんじゃねーよ」
「そう、ではなくて……なんというのかしら。
無限、というのは、わからない、と似た意味なの」
「わかんない、と……?」
「そう勉強したわ。家庭教師の先生が言っていたもの」
「……わかんないことを勉強すんなんて、気持ち悪いね」
「ソクラテス、ソクラテス。
そういうものなの」
「でもさ、偶数か奇数かなんて、2で割ればいいじゃん?
無限大わる2って何?」
「無限大」
「…………」
「…………」
「…………」
「そう習ったもの」
「ホントにわかんねーんだ……数学も大したことねーなっ。
でもさ、だったら……偶数が奇数の3倍じゃない、ってこともわかんないでしょ?」
「……あ」
「正解!?」
「い、いえ、その切り口は予想していなかったわ。
実はこの詭弁問題、無限の概念とは……偶数かける偶数の時点では関係してこないの。
偶数と奇数が同数である証明が確かあったはずなのだけれど……ええと……」
「なんだよーもー。ブラフかよっ。
ま、その方がいーけど。無限でわかんない、なんてズルっぽいし。
あたしにはわかりっこない……いや、わかんないことをわかるなんてことをわかりっこなくて、あー?」
「深いわね」
「アンタはすぐそれで済ますよなー。
……ねーちゃんは得意でしょ? わかんないことの扱いって。バカだし」
「ええ、私は馬鹿だから。ありきたりな少女だものね。
……無限とはわからない。
例えばわからない可能性のことを、無限の可能性と人は言う」
「……それはわからんでもない」
「芸術――芸術もそうね」
「うん?」
「貴女の土俵で言えば……
音楽の旋律。音楽の旋律も、あくまで数学的な話では無限に作ることができるわ。
だから、いまだ作られていない曲のことは誰もわからない」
「……むー」
「文学は無限だと、父が言っていたわ。
人間の情動に無限の深みがある限り文学は無限だと。
それも、」
「…………」
「人間の情動とはわからないものだからよ」
「……もういーや。帰ろ。
ねーちゃんは面白いヤツだけどさ、あんまり深く関わりたくないんだよう」
「そう」
「理由はよくわかんねーけどさ。
――つまり、理由は無限にあるけどさ」
「この間の……というと」
「自分で出して忘れんなっ。
ほらアレだよう。偶数と奇数でどうこうっていう……」
「偶数と奇数……と、偶関数と導関数の話かしら」
「……ち、違うと思うっ。もっとこう……」
「ええと……。
偶数かける偶数は偶数。
偶数かける奇数は偶数。
奇数かける偶数は偶数。
奇数かける奇数は奇数。
ではどうして、偶数の数は奇数の三倍ではないのか」
「それ!
結局わけわかんない。そもそも、偶数と奇数の数って同じ?」
「ええと……無限大なのよ、どちらも」
「無限大、ってーのは奇数なの? 偶数なの?」
「……わからないのよ」
「わかんねーならんなキッパリ言うんじゃねーよ」
「そう、ではなくて……なんというのかしら。
無限、というのは、わからない、と似た意味なの」
「わかんない、と……?」
「そう勉強したわ。家庭教師の先生が言っていたもの」
「……わかんないことを勉強すんなんて、気持ち悪いね」
「ソクラテス、ソクラテス。
そういうものなの」
「でもさ、偶数か奇数かなんて、2で割ればいいじゃん?
無限大わる2って何?」
「無限大」
「…………」
「…………」
「…………」
「そう習ったもの」
「ホントにわかんねーんだ……数学も大したことねーなっ。
でもさ、だったら……偶数が奇数の3倍じゃない、ってこともわかんないでしょ?」
「……あ」
「正解!?」
「い、いえ、その切り口は予想していなかったわ。
実はこの詭弁問題、無限の概念とは……偶数かける偶数の時点では関係してこないの。
偶数と奇数が同数である証明が確かあったはずなのだけれど……ええと……」
「なんだよーもー。ブラフかよっ。
ま、その方がいーけど。無限でわかんない、なんてズルっぽいし。
あたしにはわかりっこない……いや、わかんないことをわかるなんてことをわかりっこなくて、あー?」
「深いわね」
「アンタはすぐそれで済ますよなー。
……ねーちゃんは得意でしょ? わかんないことの扱いって。バカだし」
「ええ、私は馬鹿だから。ありきたりな少女だものね。
……無限とはわからない。
例えばわからない可能性のことを、無限の可能性と人は言う」
「……それはわからんでもない」
「芸術――芸術もそうね」
「うん?」
「貴女の土俵で言えば……
音楽の旋律。音楽の旋律も、あくまで数学的な話では無限に作ることができるわ。
だから、いまだ作られていない曲のことは誰もわからない」
「……むー」
「文学は無限だと、父が言っていたわ。
人間の情動に無限の深みがある限り文学は無限だと。
それも、」
「…………」
「人間の情動とはわからないものだからよ」
「……もういーや。帰ろ。
ねーちゃんは面白いヤツだけどさ、あんまり深く関わりたくないんだよう」
「そう」
「理由はよくわかんねーけどさ。
――つまり、理由は無限にあるけどさ」
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ターコイズ
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35
性別:
女性
誕生日:
1989/09/05
職業:
だらだら大学生
自己紹介:
終わクロの風見とか出雲とか風見とかに萌え萌え。
管理人が女につきブログのノリも女性向き気味、かもしらん。
プレイ・バイ・ウェブの「シルバーレイン」に少女キャラでぼちぼちと参加中。
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